福岡高等裁判所宮崎支部 昭和26年(う)456号 判決
記録を調査すると原審は第一回公判の被告人の傷害被告事件の審理につき証拠調段階の冒頭において検察官が先ず証拠として(1)被告人の司法警察員に対する第一回供述調書(2)被告人の検察官に対する第一回供述調書の外一二通の証拠書類の取調を請求し第二回公判において被告人に対する暴行詐欺被告事件を併合審理する旨の決定を宣し検察官と弁護人から夫々証人の申請があつた後第一回公判で検察官から取調請求のあつた傷害事件の証拠として前掲(1)(2)外四通の証拠書類を取調べる旨決定し、検察官は右各書類を順次展示朗読したものであつて、右(1)(2)の証拠書類の内容を検討するといずれも傷害事件の被告人の自白調書であることが認められる。惟うに刑事訴訟法第三〇一条で同法第三二二条及び第三二四条第一項の被告人の自白調書は犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければその取調を請求することができないと規定した趣旨は裁判官をして事件につき予断又は偏見を懐かせる虞れのあることを考慮したからであつて同法はその立法の趣旨から考えても厳重に守もらなければならないものであり、原審の右証拠調の順序は同条の規定を設けた精神に反するもので違法である。而して右の証拠調の方法は単に傷害事件の証拠として取調べられたものではあるけれども原審は暴行詐欺被告事件と右傷害被告事件を併合して審理したものでありこの三つの罪は併合罪として刑法第四五条、第四七条を適用処断すべきものであるから右違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであり原判決は破棄を免れない。